あのねエッセイ

“リアル・小さなおばあさん” よろこぶ

『あたまを使った小さなおばあさん』は、私が小学生中学年の頃に学校の図書館で出会った本です。身の回りで起こる問題を、おばあさんが想像もできない方法で解決するのが面白くて、繰り返し読んだ思い出があります。大人になっても時々読み返していた、大好きなこの物語に続編があり(なんと!)、この度翻訳本が出版されるという嬉しいニュースが届きました。しかも2冊も!


『あたまを使った小さなおばあさん・がんばる』、『あたまを使った小さなおばあさん・のんびりする』。ん? がんばる?、のんびりする? タイトルからもうワクワクしちゃうなあ。内容は読んでからのお楽しみ、ですが、小さなおばあさんは相変わらず家の中をきれいに整え、お料理をし、スープばたけの仕事や、ねずみやがちょうが機嫌良く過ごせるようにお世話して暮らしています。もちろん上手に「あたまをつかう」ことも忘れずに、ね。だって続編でも“愉快な”困ったことが色々と起こるのです。ふふ。


 
 それにしても、子供の頃にこの物語がどうしてあんなに好きだったのか、続編を読んでようやくわかりました。おばあさんは一人暮らしで、家は小さく、そしてお金も無い。でもとっても楽しそうに暮らしているのです。何でも自分で解決できる(現実だったら解決とはいえないこともたくさんですが……もごもご)、本当の意味で自立した女性だったのですね、何とカッコいい。


 物語に出会った時は小学生だった私も、おばあさんとほぼ同じ境遇で小さなおばあさんになろうとしています。ねずみやがちょうはいませんが、おばあさんみたいに楽しく、幸せに暮らしたい。楽しい物語からは、そんな勇気ももらった気がします。

岡尾美代子(おかお・みよこ)
スタイリスト&小さなおばあさん予備軍。書籍に『母の友』の連載をまとめた『雑貨の友(筑摩書房)』、『雑貨ヘイ!ヘイ!ヘイ!(CCCメディアハウス)』など。

2019.11.19

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