やまんばのむすめ まゆ
「きたの おやまの てっぺんの さんぼんすぎのしたに、ちいさな いえがありました。そのいえには、のっぽのやまんばと やまんばの むすめの まゆが すんでいました。」 力持ちで好奇心旺盛な女の子まゆが、怪物や妖怪、伝説の生き物など、さまざまな登場人物たちと元気いっぱいに自然の中を駆け回ります。
やまんばのむすめ まゆについて
やまんばの娘のまゆは、小さいけれどとても元気で力持ちの女の子。その怪力といったら、巨体のオニから力自慢の大ガッパまで、ひょいと持ち上げて、ぶんなげることができてしまうほど。 好奇心も旺盛で、龍が現れれば背中に乗って空を飛び、相撲を挑まれれば二つ返事ですぐ勝負です。迷子のうりんこを助けたときには、お世話をするはずだったのに、いつの間にかふたり一緒にどろだらけ。ときにはひやひやすることもあるけれど、たくさんの友だちに囲まれて毎日楽しく過ごしています。
作者の富安陽子さんが、やまんばの親子の話を書きたいと思い立ったのは大学生のとき。民話の中に「山姥のお産」というモチーフをみつけ「子どもを産んだ山姥は、どんなお母さんになったんだろう」と想像したことがきっかけだそうです。富安さんはまず、やまんばのお母さんとまゆが活躍する短い物語をいくつか書き、その後、まゆを主人公にした絵本を生み出しました。やまんばのお母さんとまゆが活躍する短編は、2000年に刊行された童話集『やまんば山のモッコたち』にまとめて収録されています。
文章には登場しないけれど、降矢ななさんの絵の中には、まゆにぴったりくっついて、まゆの活躍を静かに見守っている友だちがいることをご存知ですか? まゆを見つめるその友だちの、 ときにハラハラ、ときにワクワクの表情は、まるで読者の気持ちを代弁しているかのよう。絵本を読みながら、豊かな表情と可愛らしい仕草が魅力のこの小さな友だちのことも、ぜひ探してみてくださいね。
登場人物
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まゆ
やまんばの娘。北の山のてっぺんにある、三本杉の下に住んでいる。 元気で力持ちな女の子。
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おかあちゃん
まゆのお母さん。背高のっぽのたくましいやまんば。元気いっぱいのまゆを優しく見守る。
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おに
山の中でまゆと出会う。まゆを大鍋で煮て食べようと、岩屋に招待するが……。
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りゅう
西の空のはてに住む龍。まゆの住む山に、春一番の雨を降らせにやってくる。
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りゅうのこ
龍の子ども。親子でまゆの住む山に訪れる。まゆと仲良くなり、一緒に空を駆け巡る。
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うりんこ
いのししの子ども。林のなかで迷子になっていたところを、まゆに助けられる。
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ミドリマル
元気で気のいい子がっぱ。お相撲チャンピオンを目指して日々努力中。
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デッカマル
巨大な岩のような大がっぱ。沼一番の力持ちで、かっぱ相撲のチャンピオン。
とじる