林明子さん
その体温や息づかいまでが感じられるほど、生き生きとした姿で子どもたちを描き出す林明子さん。1973年のデビュー以来、『はじめてのおつかい』『こんとあき』『おつきさまこんばんは』など、子どもたちの心に残る作品を多く手掛けています。
林明子さんについて
1973年「かがくのとも」『かみひこうき』(小林実 文)の絵で絵本作家デビューした林明子さんが、初めて物語絵本に取り組んだのが『はじめてのおつかい』(筒井頼子 文)でした。林さんは、はじめて原稿をもらった時「これは自分のことだ」と思ったそう。手に汗握る展開が続くストーリーと、みいちゃんの心の動きが伝わってくる絵で、50年近く読み継がれるロングセラーになりました。
林さんの絵の魅力は、なんといっても子どもたち! ちょっとしたしぐさや表情が、まさに子どもそのもので、まるで絵本の中で生きているかのように感じられます。絵を描くときは、必ず実物を準備して、綿密な取材やスケッチを重ねるという林さん。身近な子どもたちをモデルに、顔かたちや洋服を丁寧に描き込んでいくことで、生き生きとした姿が絵本の中にとどめられたのです。
「絵本を描き上げるのに長い時間がかかってしまうのは、自分の力が足りないせいなのですが、お陰で、どの絵本の中にも、苦労した日々の人生が保存されています。一冊を開くと、その時に出会った優しい人々、こどもたち、風景までが蘇って来ます。思い出を積み重ねてくれた50年に感謝しています。」
プロフィール
1945年、東京に生まれる。横浜国立大学教育学部美術科卒業。1973年、「かがくのとも」の『かみひこうき』で絵本作家デビュー。その後、絵本に本書のほか、『こんとあき』『はじめてのおつかい』『おでかけのまえに』『でてこい でてこい』『きょうはなんのひ?』『おふろだいすき』『はっぱのおうち』『ぼくのぱん わたしのぱん』「くつくつあるけのほん」全4冊(以上、福音館書店)などがある。長野県在住。
撮影:浅田政志
illustrations © Akiko Hayashi