子どもたちには、外で思いっきり遊んでほしいというのが大人の願いではありますが、子どもたちを取り巻く環境自体、子どもたちから遊びを奪いつつあります。環境建築家の著者が子どもたちが外遊びを思いっきり楽しむための、大人の役割を指摘します。

福音館書店 宣伝課 H

身近な紙コップを使ってこんな楽しいものを作れる、こんな遊びも出来る。子どももおとなも作る喜びに浸ることでしょう。楽しい世界を経験することで、もっともっと何かを作りたい気持ちが湧き上がります。色々な材料（紙コップ、ストロー、牛乳パック等）で作る絵本『かわいい・びっくり！ 動く手作りおもちゃ』で作って遊んで、新たな世界が広がることでしょう！

子どもの本の専門店 エルマー
前園敦子

切ったり、折ったり紙で遊ぶことが好きだった人におすすめの１冊です。自分で作った豆本はちょっと不恰好だったりするけれど見ているだけで可愛くて、愛おしい何とも不思議な気持ちになります。子どもの頃に楽しんだ紙工作を思い出しながら作ってみてはいかがでしょうか？

福音館書店 販売促進担当 S

どうしてあんなに重いものが空を飛べるのか？ 小学生の男の子の紙飛行機づくりを通してその疑問に答える１冊です。主翼と水平・垂直尾翼、胴体しかない単純な構造の紙飛行機だからこそ、飛行の原理が端的にあらわれ、操縦方法も子ども自身が体験できる良さがあると著者は言います。“体験的”航空力学を親子でお楽しみください。

福音館書店 宣伝課 T

子どもたちが大好きなシャボン玉。ふわふわ漂ったり、くっついて一つになったり、見ていて飽きません。でも、シャボン玉がなぜ膨らむのか、知っていますか？ そんな疑問を入り口にして、楽しく実験しながら「表面張力」について知ることができるのが『大きなシャボン玉』です。

福音館書店 宣伝課 M

子どものモノが豊かになり、みぢかなもので遊ぶことが減ったかもしれません。しかし、紙は家にあるし、草花はすぐそこに咲いています。大人にとって懐かしい、子どもにとって新鮮な伝承遊びを、今、親子で楽しんでほしいです。

福音館書店
科学書編集部 S

『まるごと たこ凧カイト』は、身近にある竹ひごと障子紙を使ってユニークな形の凧を作ろうという本です。著者は江戸凧と呼ばれる日本の伝統的な凧を作る数少ない職人さんです。凧を知り尽くしている者だからこそ教えられるたくさんのノウハウがわかりやすく書かれています。親子で楽しく凧を作ることができる本としてお薦めします。

日本の凧の会

トリックによって騙し騙される快感は、手品も推理小説も同じ。「黒後家蜘蛛の会」シリーズは、月に１回開かれる晩餐会を舞台に、登場人物たちが素人探偵ぶりを発揮する軽妙な短編集。的外れな推理合戦の最後に披露される、給仕ヘンリーの華麗な推理＝種明かしが小気味いい。

福音館書店 宣伝課 M

フィンランドのクリスマスには欠かせない装飾「ヒンメリ」をご存知ですか？ ライ麦の藁で作った多面体の飾りをつなげたモビールです。正八面体の基本形の作り方をはじめ、オリジナルヒンメリの作り方が美しい写真と共にたっぷり紹介されています。

福音館書店 宣伝課 H

『やさいでぺったん』の主役でもある野菜のスタンプを花々に見立てたのは、イタリアの美術家ブルーノ・ムナーリ。彼は、子どものための造形ワークショップに力を注いだ教育者でもありました。そんなムナーリが「クリエイティヴィティ」について綴った『ファンタジア』は、造形の喜びにあふれた１冊。なんと、日本の折り紙も登場しています。

福音館書店 宣伝課 M

資金繰りにあえぐ零細足袋製造企業が、足の裏で地面を掴む「裸足感覚」のランニングシューズ開発で一発逆転を狙う！ 「足の裏」のことはもちろん、どんなに小さくて人目に付かない事柄にも深い深い世界があること、そして、見方次第でどんな場所からも壮大な景色が見られることを教えてくれる１冊です。

福音館書店 宣伝課 U

『パパは脳研究者』は、脳研究者の池谷裕二さんが自身の子育ての経験を、脳科学の視点からつづった育児エッセイ。子どもたちはおっぱいが大好きですが、子育てはおっぱいが出る女のひとだけのものではない！　新米ママ＆パパにおすすめしたい１冊です。

クレヨンハウス 東京店
馬場里菜

『新版 動的平衡』では、パスカルの有名な言葉になぞらえて、「人間は考える管である」と書かれていますが、ご飯を食べて、うんちやおならが出るのも、口から肛門が１本の「管」になっているから。人間の体への興味が、「生命」へと広がった方におすすめの１冊。

福音館書店 宣伝課 M

同じ「おへそ」がテーマですが、やぎゅう げんいちろうさんと加古里子さん、違う目線で見ることで、子どもたちにも伝わることが色々あるかもしれません。本を読んだら、親子でおへそを見ながら哺乳類の一員であることに想いをはせてみてください。

福音館書店 宣伝課 H

他の動物は練習しなくても泳げるのに、なぜ人間は練習しないと泳げないのか？　人間だけは泳ぐときに体を横にしないといけないから。なぜ横にしないといけないのか？　それは人間が普段二足歩行しているから。なぜ人間は二足歩行なのか？……どんどん考えが深まります。

福音館書店
かがくのとも編集部 F

この本は、子ども向けの詩のアンソロジー。えっ？と思われるかもしれませんが、山中利子さんの詩「かさぶたって どんなぶた」を読むと、子どもが「かさぶた」にいっそう親近感がわくこと間違いなし。ほかにも、おもわず笑ってしまう愉快な詩ばかりで、日本語の楽しさと奥深さを、親子で味わえます。

福音館書店 宣伝課 Y

ジンマシン、アトピー、ミズボウソウに虫さされ。体がかゆくなるのは、人体を守る免疫という力が働いている証です。科学者たちが挑む免疫研究の最前線がまるでドラマを観ているかのように描き出されます。今まさに革命が起きていると言われる「複雑でかくも美しい」免疫学の入門書。

福音館書店 宣伝課 T

五感がからだやこころに話しかけるという表現を用いて、体と心は「感覚」でつながっていることが書かれている、すごい本！ と、人間の「感覚」を持たないコズエが色々なものを“まく”お話。

福音館書店 営業推進部 N

暑い、寒い。どこかが痛い、だるい。身体から発せられるすべてが自分への大切なサイン。自分の体とうまく付き合うことの本来の意味をこどもと一緒になって考えてみたい。風邪は自然の健康法だと説いた『風邪の効用』は、遊びや学びの姿勢にも通ずる清々しい１冊です。

恵文社一乗寺店 鎌田裕樹

江戸時代の大ベストセラー。読んでいるうちに肩の力が抜け、自分を大切に生きようと素直に思えてきます。松田道雄さんの訳版や、ジョージ秋山さんの漫画版なども気楽に読めておすすめです。

福音館書店 営業推進課 K

血の中にはたくさんの細胞がいます。それら(彼女ら？彼ら？）は、日夜わたしたちの体が健康であるように働いています。病原菌と闘ったり、酸素を取り込んだり……　その仕事ぶりはまさに山あり谷あり、ドラマチックです。それこそ、物語としても十分に楽しめるほど。

福音館書店 ライツ事業室 Y

『はなのあなのはなし』をつくったときは、はなのあなはぜったいにないとこまるとおもっていたけど、いまは、はなのあなは、なきゃないでもいいとおもっています。

やぎゅう げんいちろう

大切な歯を守る歯医者さん。ネズミのチュー先生はおそらく世界で一番小さな歯医者さんでしょうね。でも、仕事に誇りを持っていて、どんな動物の治療もするんです。それにしても虫歯を治してもらったあとにチュー先生を食べようとするキツネのずるさときたら！ そんなキツネを知恵で撃退する姿も見ものの愉快な絵本です。

福音館書店 宣伝課 Y

近くにあるけれど、自分の骨はめったなことでは見られません。魚や鳥の骨なら食べるときに見ることもできるけれど、ゾウやキリンの骨はなかなか見られません。動物園で死んでしまった動物の遺体を、解剖したり骨にしたりして研究する学者もいます。骨には生き物の進化の謎をとくヒントがたくさんあります。

福音館書店 宣伝課 N

「いきものは、たべるから　みんな　うんちをするんだね」
“うんち”を追って、アフリカ、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、南極へと、世界を歩いた研究者の、うんちを通して見えてくる生き物たちの「生きる世界」を知ることができる１冊です。読み終わった人は、きっとこう思うでしょう。“うんち、ばんざい！”

国立音楽大教授
同 付属幼稚園 園長　林 浩子

小林秀雄は「食い気」「色気」同様に「眼玉っ気」とよぶ感覚から入る通り道にこそ個性があると語り、青山二郎は眼玉で見た物を何故眼玉で受け止められないのか、確かな眼とは新しい思考を逆に導き出すと説く。河上徹太郎が眼に映った物だけを信じる青山の行為を「眼の哲学」と評した目の眼をめぐる書。

代官山 蔦屋書店 Y

おかあさんのおなかのなかで、赤ちゃんはどんなふうに過ごしていたのだろうか。『胎児のはなし』を読むと、生まれたての赤ちゃんが、どんな変化を体験しているのかが分かります。いのちって不思議だなあ。生まれてきたこと、生まれてきてくれたことに、しみじみ感謝したくなる１冊です。

澤口たまみ

大きな角を持ったカブトムシは、子ども達の人気者です。その成長は小さな卵から芋虫になり、そしてサナギになりやがて硬い殻の成虫になります。観察の楽しさをリアルに表現できた自信作です。

松岡達英

アメリカザリガニは、元々日本にはいませんでした。連れてきたのは人間です。絵本に描かれているように、とても魅力的な生き物です。でも、在来の環境を破壊するので今は駆除の対象になっています。外来生物自身に罪はありません。しかし、人間は自分のしたことの責任をとらねばならないのです。

福音館書店 ライツ事業室 Y

『荘子』には至人（道の説く理想の人間）のモデルとして、包丁の語源となった料理人の包丁（ホウテイ）の牛さばきの話をはじめとし、名人の逸話、枚挙に暇がない。腰の曲がった蝉取りのお爺さんもその一人で、名人になるにはやはり鍛錬が必要だと言う。その一端が『せみとりめいじん』にある。

福音館書店 販売課 H

『なつやすみ虫ずかん』を読むと、視力は変わらないのに、これまでよりも虫の姿がはっきりと見えるようになります。＋1の著者である小松貴さんは日本でも屈指の「見える」人。軽快な文章ととびっきりの写真で、彼が見ている世界を少しだけ垣間見させてくれます。（Kindle版は写真がフルカラーなので、紙版と併せて楽しむのがおすすめです。）

福音館書店 ライツ事業室 Y

のうさぎはたくさんの捕食者に狙われます。実は、人間もうさぎを食べます。牛や豚のように、人間が育てていない野生の動物の肉を「ジビエ」といいます。おいしいお肉を食べることは、とてもうれしく楽しいものです。おいしさの後ろにはどんな営みが隠れているのか。考えるきっかけになる作品です。

福音館書店 ライツ事業室 Y

アメリカには、13年や17年に1度だけ、一斉に大人になるセミがいます。これを「素数ゼミ」といいます。13と17は素数だからです。なぜ、このセミたちは素数が分かるのでしょう。そこには、長い進化の物語が隠されています。複雑な歴史や進化が鮮やかに解きほぐされていく様には、ある種の快感すら覚えます。

福音館書店 ライツ事業室 Y

僕は自然の中で野生生物を観察する事が大好きでした。しかし彼らはその姿をなかなか見せてはくれません。そんなある日、僕は彼らが自然に近寄ってくれる方法を発見しました。エッツの絵本『わたしとあそんで』は僕の発見した方法が見事に描かれています。この本を片手に自然の中へ行ってみませんか。きっと素晴らしい時を過ごせますよ。

得田之久

『アリの巣の生きもの図鑑』は、アリと深い関係を持つ生物群を紹介する異色の図鑑。巣の中でアリに育てられるシジミチョウの幼虫など、虫たちの高度な関係に驚かされます。一見地味な土壌生物たちの決定的瞬間をとらえた美しい写真が多く、小さいお子さんにも解説しながら親子で楽しめそうです。

エッセイスト・「昆虫大学」学長
メレ山メレ子

枝や葉と似た体色を生かした、虫たちの「かくれんぼさくせん（＝擬態）」をご存知の方は多いかもしれません。では「居候」や「結婚詐欺」といった作戦をとる虫がいることを知っていますか？ 誰に教わるでもなく、巧みに遂行される虫たちの多彩な作戦を知るにつけ、「むしたちって、本当にすごい！」と叫んでしまうのです。

福音館書店
ちいさなかがくのとも編集部 H

「虫には興味はないし、むしろ嫌かも」という方にも読んで欲しい２冊。共通するのは虫たちに向けられた愛情と、ユーモラス＆詩情豊かに描かれたかれらの暮らしぶり、そして人間と同じ「いのち」に対する敬意と共感。読んだ後も虫を触れなくても、かれらを見る目が少し変わるかも。

福音館書店 販売促進担当 K

『わたし、くわがた』を読んだら、早速子どもに「クワガタを捕ってみたい」と言われたり、あるいは親が「また子どもの頃みたいに虫捕りしてみたい」と思ったり。しかし、どこでどうすればよいのかわからない……。そんなときにはこの１冊を。１年中いつでも、何かしら虫と遊べるように提案してもらえます。

福音館書店 宣伝課 N

訪れる人をいつも温かく、穏やかに迎えてくれる長崎市。そこには大正4年11月から走り続ける路面電車があり、昭和20年8月に廃墟と化した凄惨な歴史があります。電車とともに丁寧に描かれた長崎の街の姿と一瞬で日常を奪った一発の爆弾。平成が終わる31年4月に改めて読んでいただきたい２冊です。

福音館書店 販売課 N

絵本は新宿を出発した中央本線を、終点の松本までひたすら追い続けています。山々の間を抜け、トンネルをくぐり、川を渡り走り続ける列車を俯瞰で眺める爽快感。 『電車屋赤城』はそんな電車の整備をする整備士たちの物語です。鉄道の安全運行を陰で支え、その仕事に誇りを持つ男たちの熱い人間ドラマ。

福音館書店
かがくのとも編集部 K

フェリーほど一人旅を満喫できる乗り物はないのでは？と思わせる、深夜発のフェリー旅の記録です。著者自身も、本の中で各航路の「孤愁感」を星の数で示していたりします。時間はかかるけれど、乗ってしまえば快適そうだし旅情たっぷり。金曜日に仕事を終えて、夜半過ぎには漆黒の大海原にいるなんて。憧れるなあ。

福音館書店 宣伝課 Y

江戸時代からの消防の変遷を感じられる絵本を読んで、町や文化、風習の移り変わりに興味が湧いた方におすすめの１冊。江戸の町に多かった火事の話だけでなく、たくさんの図版を見ながら、今の東京ができあがるまでの歴史を一望することができます。

福音館書店 宣伝課 M

空の上やトンネルの中から沿線を細やかに描写したみねおみつ氏。公共交通機関のモノレールをジェットコースターに認定した宮田珠己氏。読者を旅へ誘い、親子３世代で散歩の楽しさを分かち合える２冊です。

湘南モノレール 社長 尾渡英生

大豆、エンドウ豆、インゲン豆など、食卓に登る豆は数ありますが、昔からハレの日に欠かせないのは小豆です。小豆から作るあんこのお菓子は今では日常的に食べられていますが、茶道とともに発展した和菓子には奥深く謎めいた印象もあります。『和菓子のアン』では、その魅力をミステリー仕立てで楽しめます。

福音館書店 宣伝課 N

玉子にまつわる珠玉のアンソロジー。37人の作家による、玉子への静かなる情熱を堪能できます。森茉莉、武田百合子、林芙美子、池波正太郎、伊丹十三、吉田健一、嵐山光三郎、北大路魯山人、向田邦子、田辺聖子……。残念ながらアレルギーで玉子を少ししか食べられない私も、この本を読んではうっとりと玉子に思いを馳せるのです。

福音館書店
かがくのとも編集部 O

『サンドイッチつくろう』を十分堪能したあとで、もっと色々なサンドイッチを作ってみたくなった方には、『世界のサンドイッチ図鑑』を。国別にずらりと並んだ個性的なサンドイッチたちは、パンも具材も様々！ サンドイッチからうかがい知れる、お国柄に思いをはせるのも楽しい。

福音館書店 宣伝課 M

絵本を読んだらきっと食べられる植物を育ててみたくなるはず！ というわけで、花や野菜など植物の栽培をたっぷり図解している本を紹介します。土の作り方、肥料、水のやり方など、必要な情報がぎゅっとつまっています。すぐ始められますよ。

福音館書店 宣伝課 H

“皮も美味しいバナナ”が開発されたそうです。が、皮なんて食べたくないと思いませんか。ところが、この本によると「バナナは全部皮で出来て居り、そして其外皮を捨て内皮を食っている」のだそうです！ 外皮も食べてみたくなりますね。牧野節が楽しい植物エッセイです。

伊沢尚子

『ばばばあちゃんの アイスパーティ』のように、季節や気候に合わせたものを食べるのは楽しく、心地いいことです。『新装版 味の歳時記』は、旬のものを食べることの喜びを感じられる１冊。いつも手元に置いて、季節のうつろいを感じながら、一つ一つの食材に向き合う姿勢を忘れずにいたいものです。

福音館書店 宣伝課 M

オーソドックスなものからびっくりするようなものまで、たくさんのお餅が登場する『ばばばあちゃんのおもちつき』。この絵本を読んでお餅作りを楽しんだ後は、さらにたくさんのお餅が登場する『春夏秋冬餅レシピ』を。オードブルからデザートまで、お餅づくしのフルコースが堪能できそうです。

福音館書店 宣伝課 M

ばばばあちゃんの飽くなき食べることへの情熱。そんな情熱を江戸時代の人々も持っていたことを感じさせてくれるレシピ集。卵、豆腐、大根など、ひとつの素材を様々な調理方法で食べていたことがわかります。「ふわふわ卵子」など完成図がはっきりしないものもありますが、文字だけのレシピを頼りに親子で江戸時代の料理に挑戦してみては？

福音館書店 宣伝課 T

『ばばばあちゃんの やきいもたいかい』の最後のページで「どうだい！やめられないだろ。」と、ばばばあちゃんが紹介する「ほしいも」。茨城県民のソウルフードとも言えるほしいもについて、サツマイモのルーツ、ほしいもの歴史など、そのすべてが興味深い１冊です。

福音館書店 宣伝課 H

珊瑚は21歳、シングルマザー。貼り紙で知った年配の女性くららに娘の雪を預け、パン店で働きはじめます。アレルギーだという子ども客の話を聞き、くららが考案した「メロンパンもどき」は美味しそうな蒸し菓子。自由な発想と温かさで雪を後押しするくらら、人生を切り拓いてゆく珊瑚。どちらも魅力的です。

福音館書店 童話第二編集部 N

アイスクリームとビスケットが好きで、死ぬ前最期の言葉が「何か喰いたい」だった夏目漱石。食い意地がはっていて、味の素を愛好した太宰治。妹としの死をきっかけにストイックな菜食主義にこだわるようになった宮沢賢治。「はらぺこ」との向き合い方から、37人の文士たちの生き様が垣間見えます。

福音館書店
たくさんのふしぎ編集部 K

ぱんを作れるようになっても、この本を見るとぱん屋さんに飛び込みたくなります。いい香りまで感じてしまうほどおいしそうなぱんの絵がたまりません。テーブルにぱんと紅茶が並んだ最後のページは幸せそのものです。

林 明子

『まめ』を楽しんだあとにこの１冊はいかがでしょう？ 次の世代に命をつなぐための植物の種である豆。人間は大昔からそんな豆の恩恵をうけてきました。日本だけでなく世界各国で食べられてきた豆とその特徴や郷土食が紹介され、豆と人間の結びつきをより深く知ることができる楽しい豆図鑑です。

福音館書店 宣伝課 T

野にはえた春の草を、気軽に安心して摘んで食べる。そんなあたりまえの幸せを、奪われてしまった場所が日本にはあります。なぜこんなことになってしまったのか。『苦海浄土』に書かれた水俣病の患者たちの声のひとつひとつから、私たちが失ってきたものと、残された希望を考えてみませんか。

福音館書店
たくさんのふしぎ編集部 K

生きるために必要な食事。けれども、忙しい毎日の中で、食事の準備をストレスに感じてしまう瞬間は、誰にでもあるのではないでしょうか。そう感じたときに、ぜひ読んでいただきたいのがこの１冊。日々の料理を気張らず美味しく作るヒントが、いつのまにか生きることを楽しむためのヒントになる、料理の哲学書です。

福音館書店 宣伝課 U

「数」を知らなくても「かずくらべ」はできる。絵本『かずくらべ』は、そのことを実感とともに教えてくれる。鍵になるのは「１対１対応」を見つけることだ。では、そもそも「１」とは何か。これを「人間とは別の」視点から考えてみたのが『アリになった数学者』です。よかったらぜひ併せてどうぞ。

独立研究者 森田真生

『数の悪魔』は数学大嫌い少年ロバートと夜な夜な夢に現れる悪魔との軽快な会話を軸に繰り広げられる物語を楽しみながら、難なく数学が学べる｢初めての数学指南書｣とも言える本です。算数が少し難しく思えてくる10歳頃から読め、この１冊で実に100を超える数学用語が学べます。すごい！

明文堂書店 TSUTAYA戸田
坂本まさみ

人の心をそのまま、自分のものとして感じることはできません。しかし他者の心の在りようを想像する行為には、人間という動物を人間たらしめる、深厚なやさしさが存在しているように思われます。自分のものですら確かなことなど分からない、心について考える２冊の本。‬

福音館書店 販売課 T

世界はいつでもはじまりと終わりがあり　終わりは次のはじまり　誰もがそれを信じてきました。 小さな女の子ローズは　はじまりと終わりの間にあるおどろきときぼうをもっていました。 だから　時々はじまりと終わりが全然ちがうもののようになっても　世界はぐるっとまるくできていることを知っていました。 この物語は子どもたちへの贈り物として書かれたものです。

こどもの本の広場　会留府
hobbit-elf

“このよで いちばん はやいもの”とは？ 読後、子育て真っ最中のお父さん、お母さんにぜひ手に取ってほしい１冊。「目に見えない、けれど生きていく上で大切なものを信じる力」について、考えるきっかけになるでしょう。本の冒頭に書かれた松岡享子さんの言葉が心に響きます。

福音館書店 営業推進部 K

小学生になってしばらくしたころ、周りの友達の影響もあってか、さすがに息子たちもプレゼントを買っているのはパパやママなのではないか？と疑ってくる。でも、それについて確信も持てないでいる、非常にグレーな時期があった。そんなとき、この社説が助けになってくれたように思う。息子たちとは、今でも当然サンタはいる体で、絵本のように「たぶんこうなんじゃない？」遊びをしている。

福音館書店 総務部 T

とても便利でおもしろい「断面図」ですが、世の中には断面を見るだけではわからないこともたくさんあります。たとえば、人間の「脳」。脳神経科医のオリヴァー・サックスが、脳の病を抱える７人の患者たちと丁寧に交流して綴ったこの１冊からは、患者の個性と絡み合いながら現れる症例を通して、脳の不思議さが垣間見えます。

福音館書店 宣伝課 M

『どこまでゆくの？』を読むと、今いる場所から離れ、自由に旅することの喜びと解放感を感じます。そして、旅先で出会う自分と異なる存在を、その相違ゆえに愛する豊かさを教えてくれるのが、カレル・チャペックの旅行記。最終章の「帰途」が心に響きます。

福音館書店 宣伝課 M

ぼくがぼくであることの条件はいったいなんだろう？ もしもこの身体がまったく別のカタチや性質だったら、ぼくは別の人間になるだろうか？ 本書は、哲学者にしてダイバーでもある著者が、長い進化の道のりの分かれ道で別の生き物になってしまった「タコと人間」の身体や脳の違いに注目し、人間とはまた「別の心」の可能性に迫る１冊。

哲学者 下西風澄

「数学者を駆り立てているのは応用の魅力ではない。数学者を奮い立たせているのは発見の喜びなのである」10歳で数論との運命的な出会いを果たした数学者が、350年以上解かれることのなかった、数学史上最大級の謎に解を見出すまでを追ったノンフィクション。もういちど、数学と出会いたくなる１冊です。

福音館書店 宣伝課 U

チャールズとレイ・イームズ夫妻制作の９分足らずの映像です。私たちの肉体に備わった視覚を、科学が極大から極小にまで拡張したことを映像によって分かり易く提示した作品です。同題の書籍は＜宇宙・人間・素粒子をめぐる大きさの旅＞という副題で1983年に日経サイエンスから出版されています。

谷川俊太郎

あなたが先にいることで「わたし」は存在します。つまり「わたし」に繋がっているたくさんの命があっての「わたし」です。１本の木も同じように、そこにいて立っていて動かないように見えてたくさんの旅をしているのですね。読み終えたとき「わたし」が愛しく感じられるでしょう。

ちいさなえほんや ひだまり
青田正徳

わらうってなんだろう？ からだを動かして、からだに触れて……なんだかたのしくなってきた！ 子どものこころとからだの育ちを促し、自然と笑みがこぼれる「わらべうた」の魔法にかかって！

クレヨンハウス 東京店
馬場里菜

世の中には、直接、見ることはできないが、確かに存在しているものがある。『中を そうぞうしてみよ』では、その例として、木の椅子の中の釘などを挙げ、想像する事の面白さを教える。同じように、目では見えないが、私達の日常には、数理で裏付けられた美しい曲線が存在する。ここに挙げたDVD-Bookは、それを可視化している。この世界を、目だけでなく、想像や論理の力によって、見ると、とんでもなく面白く、そして美しくもある世界が拡がる。

佐藤雅彦

『イワシ』と『うみがめぐり』。描き手によるイワシのむれの表現の仕方のちがいが興味深いです。どちらも迫力があり、臨場感あふれるその場面にひきこまれていく感じがします

えほん館 Y

どちらの絵本も次にどんな動物が登場するか推測できるように次のページへとつながっていて、子どものわくわく感をいやが上にも盛り上げる構成。そのため、『しっぽのはたらき』は科学絵本なのに読み聞かせにも向いている優れもの！

子どもの本とおもちゃ 百町森
柿田友広

『雪は天からの手紙』の中には、学生の研究に感銘を受けて書かれた「霜柱の研究」というエッセイが収められています。中谷は、研究において何より大切なのは「純粋な興味」だと言います。子どもたちが自分の興味を深めていく過程には、研究の芽が潜んでいるのかもしれませんね。

福音館書店 宣伝課 M

プラスワンの１冊は、北海道釧路を拠点とする野生生物専門獣医師の活動の記録、『野生の猛禽を診る』。まっすぐに生きものと向き合い、日々奮闘する姿が綴られています。どちらの本からも著者がもつ“生きものへの畏怖”が感じ取れます。野生と人の共存を考えるきっかけになる本です。

教文館ナルニア国 菅原幸子

恐竜は地球に隕石が衝突したときの環境激変で絶滅したと考えられています。でも実はその子孫は姿を変えて今も生きているのです。それがなんと鳥。 何かを学ぶとき、よく見たり、聞いたりすることも大切ですが、想像力を働かせて長い時間軸で捉えてみることも大切です。『ダーウィンの「種の起源」』では進化論を唱えたダーウィンの思想を美しい絵とともにひもときます。

生物学者 福岡伸一

生物の進化を描いたB・L・バートンの名作絵本『せいめいのれきし』について、恐竜研究の第一人者である筆者が、やさしく解説したガイドブック。『せいめいのれきし』の、各場面ごとの見どころについて解説すると共に、生物の進化についての最新の科学的な事実にもさりげなく触れていて、バートンの絵本をより深く味わえる内容になっている。

大島英太郎

「感覚をもっている」「コミュニケーションする」「眠る」「記憶する」「生きるための問題の解決をする」。これらは動物だけの特質でしょうか？ いえいえ、動物と違う方法で、植物は同じことをしています。絵本のように言葉を話すことのない彼らの「知性」を最新の研究をもとに解明していきます。

福音館書店
たくさんのふしぎ編集部 K

空気中の細かい水のつぶに太陽の光があたると、にじが生まれます。空にかかる大きなにじも、公園の噴水にかかる小さなにじも、そこに水があるから見えるのです。水は地球のあちこちを旅しています。地上を流れ、空気にとけこみ、雨となって降り注ぎます。地球は水の星。だから、にじが生まれるのです。

福音館書店 科学書編集部 Y

雲を見て天気を予想できたらかっこいい。そう思って子どもの頃、『冒険図鑑』を買ってもらった。天気の読み方、雷からの避難方法、水の集め方など、野外で過ごすための知恵が詰まった図鑑。読むだけでグンと逞しくなれた気がした。家の目の前だったが、子どもだけで外にテントを張って過ごした夜のドキドキは忘れない。

福音館書店
ちいさなかがくのとも編集部 Y

この２冊は、ミミズのことを観察しながら、その土の中の暮らしを書いたものです。『ポットくんとミミズくん』は、小さな庭にいる植木鉢のポットくんとミミズくんとの出会い。もう１冊は、ダーウィンが、広〜いイギリスの土を作ったのはミミズなのだ！ということに気づく話。どちらも「ミミズのうんちは地球にとってすごく大切だ」と伝える、ミミズうんち本です。

石倉ヒロユキ

生き物が自然の中で営む上でそれぞれに生きる知恵や生きる環境があること。そこには昼と夜で違う世界が広がります。合わせてお勧めしたい『よるのおと』。静かな世界に響き渡る生き物たちの命の音。その心地よい音を聞きながら心静かに夜の世界を散歩している気分になります。神秘的でたくましい「命」と向き合える素敵な２冊です。

子どもの本とおもちゃ 百町森
斉藤千紗

世界中の集落の写真と共に、示唆に富んだ短い文章が添えられている本です。『あなたのいえ わたしのいえ』は「心地よく暮らすために、あなたならどうしますか？」という問いを通じて家の機能を教えてくれます。『集落の教え100』ではそこからもう少し進んで、人と人が共に快適に暮らすため、世界中で古くから様々な工夫が行われていることを教えてくれます。

美術家 村上 慧

普段口にしている魚は、元はどんな形で、どんないきさつで届いてくるのか。子ども時分に見知ったことは、おとなになっても記憶にとどまるはずです。『やさいのおなか』は、ピアニストの中川賢一さんと共に全国展開している読み聞かせコンサートでも大人気の１冊です。絵本を通して食べ物に興味を持つことは「食育」のなかでもウェイトが大きいことを実感しています。

声優・エッセイスト 平野 文

今まで当たり前のようにあった「おとうふやさん」が存在する昭和の風景も昔懐かしいものになりつつあります。そして「平成」という時代も昔懐かしい時代になろうとしている今、二つの時代をくらべてみて、時代の移りかわりを感じてみてほしいです。

紀伊国屋書店 横浜店 花田優子

「ガロ」の編集者であった著者による“つげ義春ワールド”の追体験記。いまは失われてしまった貧しい日本の風景にも、大切な情感があることを認識させられます。藤原マキさん＝漫画家つげ義春夫人。そんなことをぼんやり頭の片隅において、絵本を眺めるのもおすすめです。

福音館書店 営業推進課 K

先生とは、子どもの気持ちによりそい信じて待つことができる人。子どもと共に笑いわくわくすることができる人。 慈しみをこめ、茶目っ気たっぷりに綴られた、山の小さな保育園の日々から、保育の本質が伝わってきます。幼い子どもとともにあるすべての方に読んでほしい、美しく感動的なエッセイです。

社会福祉法人子どものアトリエ
城東よつば保育園 園長　瀧 薫

『どうぶつえんのおいしゃさん』を読んで、獣医という仕事に興味を持った子どもたちが、もう少し大きくなったらぜひ読んで欲しい。連載当時、大学獣医学部の入学希望者が激増したという伝説の漫画。獣医のたまごである獣医学部の学生たちの日常が笑いと絶妙なクールさをもって描かれています。

福音館書店 宣伝課 T

この絵本を開くと、子どもの頃の記憶が蘇ってくる。必ずにおいも一緒にだ。巣箱にかける煙のにおい、巣の蜜蝋の香り、遠心分離器にかけてとろーりおちてくる甘い搾りたての蜂蜜の香り。趣味でミツバチを飼っていた父のお手伝いをした、子ども時代の幸せな思い出の１つ。はちみつに興味がある方には『ミツバチのはなし』をおすすめしたい。ミツバチと農薬の問題など新しい情報も満載。

子どもの本とおもちゃ 百町森
山﨑直子

『雪の上のなぞのあしあと』は、長年動物園の飼育係として働いていた作者・あべ弘士さんによる、ミステリー仕立ての絵本。脱走した動物を足跡から追うストーリーに興味を持った方は、動物や動物園に関する著書も多い、上野動物園の前園長・小宮輝之さんによる『動物園ではたらく』をぜひ。

福音館書店 宣伝課 M

さくらは最も身近な樹木で、春に満開となる景色を誰もが楽しみにしています。花が咲くまでには、春から秋までの生育期だけでなく、寒い冬でもその準備をしています。さくらの１年間の生活と様々な生き物との関係がこれらに書かれています。これらの２冊は、楽しみながらさくらについて学べる本です。

樹木医 和田博幸

一つの視点から雑草を通して見る世界の広がりと、限られた文字数から世界を爆発的に広げて見せる短歌と、説明が難しいのですが似通って良く響くように思います。

ジュンク堂書店 高槻店 貴田

『裏山の奇人』では、著者が生き物たちと過ごした幼少期の日々と、研究者となった昆虫青年の姿が生き生きと描かれています。友達だった生き物が、得体の知れない邪魔者になって久しい大人の皆さん、お子さんと一緒にすみれを観察し、キラキラと輝く目で生き物と触れ合った日々を思い出してみませんか？

岐阜大学 応用生物科学部
助教 岡本朋子

雑草がいつのまに生えてるのか。たねが飛ぶ瞬間なんて見たことがありませんでした。甲斐さんの『たねがとぶ』をみて初めてたねの色や飛ぶ様子を知りました。『ずかん たね』には、多種多様なたねを写真と詳細なイラストで紹介し、植物の子孫繁栄を繰り返す進化も伺えます。

ジュンク堂書店 京都店
髙木須惠子

『たんぽぽ』で取り上げた外来種のセイヨウタンポポの他に、日本には様々な在来種のタンポポが生息してます。外来種が在来種のタンポポを駆逐したなんて言われますが、果たして本当でしょうか？ 両者の生態や生存戦略のちがい、そして人間が変えてしまった自然環境を、10年にも渡る調査から明らかにします。

福音館書店 宣伝課 T

『つくし』を読んで、庭の嫌われもの「雑草」スギナがツクシと同じ植物であることを知ったとき、私の雑草の概念は揺らぎました。「向上心のない生命はない」など、ユーモアたっぷりの視線でスギナをはじめ50種以上の身近な雑草を観察。生存戦略や人間との関わりを綴った植物エッセイ。読むと雑草が友だちに見えてきます。

福音館書店 宣伝課 T

身近な野菜のトマトのひみつにへぇー！の驚き。『野菜美』はその美しさに開眼。発見と驚きの連続。本気の自家菜園をしている写真家の野菜への愛情がたっぷりで、嫌いな野菜も食べたいと思うほどおいしそうなの。野菜のひみつが満載です。

こども富貴堂

木の実をめぐる森の物語をもっと知りたくなった人には、この本がおすすめです。どんぐりについては15ページほど記述があり、絵本『どんぐり』にも触れられています。さらに他の木の実や花と動物たちのかかわりについて、進化の観点から楽しく考えることができます。拾い読みでも、面白い。科学の森に足を踏み入れてみませんか？

福音館書店 宣伝課 N

カタバミのことをもっと知りたくなったなら、文庫本に生まれ変わった拙著『したたかな植物たち（春夏篇）』もぜひ読んでみてください。カタバミのほか、クローバー、ドクダミ、ネジバナといった身近な植物にも、驚いたり逆に教えられたりする巧みな知恵や工夫が詰まっています。

多田多恵子

虫になって世界を眺めてみたい……そんな願いを叶えてくれる２冊です。『アリから みると』は、アリの「目線」から虫たちの世界を見せてくれます。さらに踏み込んで、「人間以外の生き物が自身の知覚を通して世界をどう認識しているか」を教えてくれる『生物から見た世界』。“生き物好き”なら必読です！

福音館書店
ちいさなかがくのとも編集部 I

子どものころ恐竜の本を開いてワクワクしていた人も多いと思います。恐竜は所詮子どものものだと思っている人はいませんか？ そういう方にオススメなのが『恐竜は滅んでいない』です。昔に戻って恐竜の面白さを再認識し、恐竜から人類の未来について考えさせてくれる１冊です。

北海道大学総合博物館 教授
小林快次

ひっくり返し、透かして見たりすることで、水を入れる道具であった「こっぷ」は、まったく別の何かに変わる。同じように寄藤さんは、１冊の本に様々な可能性を見つけ、30以上のデザインを作り上げた。アイデアの芽を、一目見てわかりやすいものに育てあげる手さばきに、熟練した職人わざを感じる２冊。

Title 辻山良雄

身近にみられる昆虫が満載された写真集。季節をおってカレンダー式になっているので、とても見やすいです。「ひげ時計」などユーモアたっぷりのタイトルや、決定的瞬間をとらえた貴重な生態写真がたくさんのっているので、昆虫の好きな子どもたちは必見です。

今森光彦

目をつぶって本に描かれた凹凸を触りながら、指先の感覚と自分の想像力を総動員して「ぐりとぐら」の世界を楽しむ本です。視覚情報取得の困難な読者を想定して出版された本ですが、指先の能力ってこんなに判るんだと知ることが出来ます。

福音館書店
かがくのとも編集部 T

新宿ゴールデン街のバーに来る客。その一人一人の特徴を眺めながら、主人公があだ名をつけ、その名で彼らを呼ぶ。そこには、よーく人を見るということのおもしろさが描かれている。冬芽のひとつひとつに人の顔を見、人格まで感じることにも、人にあだ名をつけることと似た楽しさ、オカシサがつまっている。

子どもの本専門店
メリーゴーランド 増田喜昭

好きなことが、実は子どもの頃からあまり変わっていない。雨は線で降り、水たまりに落ちると円で、鉄棒にはお行儀よく並ぶみずたまレンズ。ここからが、芸術家の目。波紋に年輪を見つけ、数百年の木の時間を「水の切り株」にうつしとる。こんなふうに世の中がみえてきたら、おもしろさはとまらない。

絵本と童話 本の家 近藤

『みずたまレンズ』を読むとき、自分の感覚が、小さな虫のもつ感覚に一歩近づいたような気がして、うれしくなります。だけどそのぶん、わからないこともたくさんあると気付かされて、途方もない気持ちにもなります。いろんな人間がいるなかのひとりひとりが、他者の世界を想像し尊重することとは、どういうことなのだろうか。その可能性を教えてくれる、ワクワクする面白さを、『生きものが見た世界』にも見つけました！

本屋Ｂ＆Ｂ 寺島

『みち』を描いてから37年ほど後に、もういちどみちをテーマに描いてみたくなったのがこの本です。ぼくの中でみちがずっと続いていたのですね。そしてこれからも続いていきそうですから、あと3、40年たったらまた描いてみましょう！ なんてさ。

五味太郎

写真家・鬼海弘雄が撮り続ける、浅草で出会った市井の人々の肖像。人々を正面からとらえた写真は、ただそれだけ圧倒的にドラマチック。自分の人生も、名前も知らない人々の人生も、すべてが稀有なものに思えてきます。

福音館書店 営業推進課 K