「かがくのとも」は、好奇心いっぱいの子どもたちに「見て」「考えて」「確かめて」「知る」楽しさをお届けする月刊科学絵本です。1969年の創刊以来、子どもたちの鋭い感受性と好奇心に支えられ、多彩な作品が生みだされてきました。
「かがくのとも」のテーマは、子どもたちの身の回りのことすべて! 身近な植物、動物、モノ、現象を、事実の羅列ではなくストーリー性を大切にして、子どもたちに伝えます。子どもたちの発見の喜びや驚きを応援する絵本、それが「かがくのとも」です。
「かがくのとも」刊行の裏には、「かがくの本当のおもしろさを伝えたい」という強い思いがありました。
発刊から50年がたち、世界が大きく変わった今も、その思いは変わりません。
人間にとって、科学というものは、とてつもなくおもしろいものにちがいありません、何千年にもわたって数えきれないほど多くの人々が、科学ととりくんできたのを見ても、そのことがわかります。おもしろくないものなら、人間がこんなに夢中になるわけはありません。
しかしそんなに〈おもしろいはず〉の科学を、わたしたちの多くは〈おもしろいものではない〉と考えています。それは、わたしたちの受けた科学教育に問題があったのかもしれません。また、かがくのほんとうのおもしろさを知らせ、物ごとをほんとうにみつめ、考えさせる、そういう本が少なかったからかもしれません。それに〈幼児の科学教育〉というとき、単に〈見せ〉〈おぼえさせ〉、それで事終われりとしてきた傾向がありますが、それでよいかどうかも問題です。
こういう問題について、福音館はこの数年考え続けてきました。幼児にはまず、科学のほんとうのおもしろさを知らせ、しかも〈見る〉だけでなく、もっと深くみつめさせ、考えさせなくてはならない、そんなことも考え続けてきました。
そしていま、自信をもって子どもたちに見せられる月刊の科学絵本が出版できるようになりました。『かがくのとも』です。これなら、本気で子どもたちに見せられます。心をこめて、この月刊科学絵本を、日本の子どもたちに贈ります。
1969年4月
福音館書店 編集部長 水口 健
「かがくのとも」創刊号内容見本より再録 ※肩書きは当時のものです。