開館1周年記念は「黒猫ジジ」にフォーカス! 角野栄子さんの世界観がつまった<魔法の文学館>
昨年、2023年11月に東京都江戸川区に開館した〈魔法の文学館〉(江戸川区角野栄子児童文学館)。「魔女の宅急便」シリーズや、最近ではインスタグラムやテレビ・映画で発信されるそのライフスタイルも注目される児童文学作家・角野栄子さんの世界観がつまった文学館です。
先日、開館1周年を迎えた同館では、「魔女の宅急便」に出てくるキキの相棒「黒猫ジジ」が主人公の企画展「くろねこJIJI」がスタートしました(会期~2025年4月7日まで)。企画展の様子と、同館の魅力をあらためてご紹介します。
企画展が催されているのは、文学館2階の一角にあるギャラリースペース。角野さん自らが描きおろした「黒猫ジジ」のイラストの大きな看板が迎えてくれる入り口を通ると、親交のある漫画家・松本大洋さんから贈られた黒猫の人形(写真右端)など、角野さんの黒猫コレクションが展示されています。
フランス人クリエイターDUANRAさんが黒猫ジジにインスピレーションを受けて制作したアニメーション動画が上映されているほか、挿絵原画展示コーナーでは、物語の中のジジを多面的に紹介すべく、その芸術家肌な一面や、「ケア」をキーワードにキキをさりげなくサポートする優しい素顔にも注目しています。
そのほか、ジジと会話ができる「猫電話スポット」や、手を伸ばすと音が出る「猫のしっぽ型テルミン」など、ジジを知っている子はもちろん、そうでない子どもたちでも楽しめるような体験型の展示もあります。
ところで、黒猫のジジについて、作者の角野さんはどんな風に思っているのでしょうか。「魔女の宅急便」シリーズのスピンオフ作品『キキとジジ 魔女の宅急便 特別編その2』のあとがきより、角野さんの言葉を紹介します。
……キキの相棒、ジジが思いもかけない言葉をつぶやくことがあります。「あれ、ジジったら、こんなこと言ってるよ」―この物語を書いたのはわたしなのに、そう思うことがしばしばでした。短い言葉を発して、その場、その場で、キキを助けたり、戒めたりして、ぴりっと場面を引き締めてくれるのです、作品は大いに助けられました。この猫、なんだか変な猫だなあ……どんな育ち方をしたのだろう。……
この『キキとジジ 魔女の宅急便 特別編その2』では、キキの誕生から、10歳の女の子に成長し、魔女になる決意を固めるまでを描いています。同時に、ジジが「どんな育ち方をしたのか」、赤ちゃんだったキキのもとにやってきた日から、一緒に成長し、「魔女猫」になるまでも詳しく描いています。「魔女の宅急便」シリーズの“エピソード0”とも言える本作も、ぜひ手に取ってみてくださいね。
さて、<魔法の文学館>について、もう少し。館内には、角野さんご本人を中心にセレクトされた、子どもたちに楽しんでほしい絵本や読み物が、意匠をこらした本棚におよそ8000冊開架され(蔵書15000冊)、子どもたちは館内の思い思いの場所で本を楽しめるようになっています。
また、角野さんの仕事場を再現した「栄子さんのアトリエ」、さらには角野さんのファッションに注目した「栄子さんスタイル」の展示も。角野さんの想像力の源泉から、そのライフスタイルまで垣間見ることができるんです。
1周年を迎え、グッズコーナーもさらに充実していました。企画展「くろねこJIJI」にあわせた黒猫ジジのグッズのほか、角野さんの娘さんで、文学館の内装のアートディレクションも手がけた、くぼしまりおさんが先日立ち上げたファッションブランド「EIKOFUL(エイコフル)」の商品も。角野さんの「カラフルで、軽くて、楽しくなるお洋服が欲しい!」という願いに応えるために生まれたブランドとのことで、ぜひチェックしてみてくださいね。
1周年を迎えた角野栄子さんの<魔法の文学館>、いかがでしたか? まだ行ったことがないという方は、ぜひお出かけしてみてはいかがでしょうか。
<魔法の文学館>については、こちらの記事でもご紹介しています。あわせてご覧ください。
角野栄子さんの魔法にかけられて…|魔法の文学館(東京・江戸川区)
■施設情報
魔法の文学館 (江戸川区角野栄子児童文学館)
〒134-0085 東京都江戸川区南葛西7-3-1 なぎさ公園内
一般(15歳以上)700円〈500円〉
こども(4歳〜中学生)300円〈200円〉
※〈〉内は江戸川区在住者、在勤者、在学者の割引料金です。
※3歳以下は無料です。
「魔法の文学館」への入館は、日時指定の事前予約制が基本となっておりますが、平日は事前予約なしでも入館できる時間帯があります。当日受付状況をご確認ください
2024.11.27