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世界で初めて! メガネを使って楽しむ『立体で見る[星の本]』

立体で見る[星の本]
最近、みなさんは空を見上げて星を眺めたことはありますか? 目が慣れるのに時間はかかりますが、次第にはっきりと星々が見えてくると、あらためて私たちは宇宙の大きな空間に浮かんで生活していることを実感します。

この作品は、「赤」と「青」のメガネを使って、宇宙の何千もの星を立体的に見る世界で初めての本です。星は、ページの上では「赤」と「青」の二重に印刷されていますが、立体メガネをかけてみると、なんとひとつに結び付いて全天88星座が3Dで浮かび上がってきます。

制作に約10年。1986年に刊行以来長く読み継がれてきたロングセラーです。

制作当時、星の温度や質量、そして星がどんな物質でできているのかは、かなり解明されていましたが、星までの距離を出すのは簡単そうで実は一番難しいことでした。それを様々な測定方法で計算されたのが、天体物理学者の北村正利さん。そして、その測定結果を基にしながら具体的に3Dのデザインに落としていったのが、世界的グラフィックデザイナーの杉浦康平さんでした。このお二人の長年の緻密な作業で生まれたのが『立体で見る[星の本]』です。

作品では、5等星までの全天の星と球状星団、銀河系外星雲のおよそ2600個をとり上げ、6段階の距離で立体化しています。いつも近くに見えるオリオン座の三つ星が意外に遠い星であったり、ぼんやりとしか見えないM31(アンドロメダ銀河)が意外に近い銀河であったり、3Dメガネの向こうに次々に現れる立体的な宇宙は、新しい発見でいっぱいです。
また、立体的であることで、いろいろな星座の形が、より躍動的に感じることができます。たとえば、さそり座のしっぽの先はツンと突き出しているように見えますし、へび座やうみへび座は細長い体が奥に手前にニョロニョロとうごめいているよう、白鳥座の白鳥は首をもたげながら、力いっぱい羽ばたいているように見えます。

これまで発見された遠い星は、何百億光年も先にあるそうです。もちろん、この作品には掲載することはできませんが、ぜひ、はるか宇宙の果てにある見えない星たちも想像していただきながら、「宇宙旅行」をお楽しみください。

担当S 初めて望遠鏡でアンドロメダをみたのが、50年前……。また空を眺めてみたくなりました。

2023.01.11

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