ひとりひとりちがいはありますが、赤ちゃんは10ヵ月くらいになると、お母さんやお父さんの言葉を聞きながら絵本を楽しむことができるようになります。この時期は「赤ちゃんと遊ぶつもりでゆったり」とした読み聞かせを心がけてください。初めて絵本と出会う赤ちゃんにとって、絵本はお母さんやお父さんと遊ぶおもちゃのようなものです。無理に始めから終わりまで読み聞かせしようとしたり、赤ちゃんが集中して見ていないからといって焦ったりしないでください。
身の回りのものを描いた絵本
この時期にまずおすすめしたいのは、赤ちゃんの身の回りのものをしっかり描いた絵本です。自分が知っているもの、生活の中で使っているものが登場する絵本は、大人が想像する以上の喜びを赤ちゃんに与えてくれます。まずは3つの定番の「もの」の絵本をご紹介します。
食べもの
食べものの絵本『くだもの』は、赤ちゃんが最初に関心をしめす絵本のひとつです。この絵本はりんごやすいかなどの果物が、写実的においしそうに描かれ、赤ちゃんは果物のおいしさを目で味わうことができます。また、それぞれの果物が切り分けられたページに、「さあどうぞ」という一言がそえられているのも特徴です。赤ちゃんはこの言葉に、お母さんやお父さんから話しかけられているような心地よさを感じながら、絵本を楽しむことができます。
動物
『もう おきるかな?』は、気持ちよく眠っている動物の親子が次のページで「あーおきた!」と目をさまします。赤ちゃんの生活の基本の繰り返し「ねんね」と「おっき」が、身近な動物の写実的であたたかな姿を通して描かれていて、赤ちゃんをひきつけます。ぬいぐるみやキャラクターの絵本でも同じだと思われるかもしれません。しかし、本物の動物の生活の様子が描かれた絵本だからこそ、赤ちゃんはより多くのことを感じることができるのです。
親子で遊びを楽しむ絵本
赤ちゃんをあやす定番ともいえる遊びに、「いないいないばあ」という遊びがあります。隠れていたものが目の前に飛び出してくることに、赤ちゃんは大喜びします。『でてこい でてこい』は、そんな遊びをモチーフにした絵本です。ほかにも絵の中に隠れている金魚をさがす『きんぎょがにげた』など、遊びを楽しむ絵本は読み聞かせの最初の一歩として、手にとりやすい絵本です。
音の響きやリズムを楽しむ絵本
赤ちゃんは、お母さんやお父さんの声はもちろん、雨の音、風の音にも聞き耳をたて、面白い響きやリズム、心地よい言葉を楽しむ柔らかな耳をもっています。音の響きやリズムを楽しむ絵本は、読み手であるお母さんやお父さんも気持ちよく、赤ちゃんと一緒に口ずさむことができます。このような体験を通じて、赤ちゃんの言葉の世界は大きく広がっていきます。
言葉を聞く楽しさから「ものがたり絵本」へ
赤ちゃんは、お母さんやお父さんと絵本を楽しむ中で、言葉を聞く喜びを知っていきます。絵を見ながら、言葉を聞く楽しさや喜びを繰り返し味わった赤ちゃんは、言葉を具体的なイメージで心に描くことができるようになり、少しずつお話の流れを理解し、起承転結のある「ものがたり絵本」も楽しむことができるようになります。
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