下絵を描く①|『まるくて おいしいよ』の作者・小西英子さんに聞きました
下絵を描く 〜『サンドイッチ サンドイッチ』『おべんとう』より〜
テーマ選び
下絵を描く①
下絵を描く②
下絵を描く③
本番の絵を描く
絵本のテーマがまとまったら……
絵本をつくる時は、すぐに本番の絵を描くわけではありません。たくさんの下絵を描きます。はじめは切手の倍くらいの下絵を描くことからはじまって、最後には実物大の色付きの下絵を描くことにしています。私の場合、そうやって下絵をたくさん描くことによって、しっかりと考えをまとめることができるため、このことを大切にしています。
下絵の段階でとっても苦労したのが、『サンドイッチ サンドイッチ』と『おべんとう』です。
子どもの視点、リズムを大切に
これが実際の絵本『サンドイッチ サンドイッチ』で、パンをふたつに切ったシーンです。
でもいちばんはじめに描いた絵はこちらです。
この絵の問題点はふたつあります。ひとつは、四角いパンを四角に切っているということです。サンドイッチは四角いパンを三角に切っている。その形の面白さがいいところなんですよね。ですから、そこがもったいない。
もうひとつは、この絵は真上から見ているので、せっかくのきれいな断面の絵がよく見えないということです。そこで今度は真横から見てみることにしました。
これだと断面がきれいにみえるし、サッと切った感じがよく出ます。ただちょっと真横すぎました。これまでは、パンを真上から見ていたページが続いていたからです。いきなり横から見ると視点の移動が急すぎて、子どもがついていきづらく、わかりづらいのではないかと思いました。そこで真横から見るのをやめて、真ん中から見てみることにしました。
これだと真上から真横へと、視点の移動が極端でなくスムーズですね。それに、断面が美しく見えます。ただ、この絵の問題は、ひとつの場面でふたつの要素が行われているということ。つまり、「耳を落として」「ふたつに切って」一場面になっているんですね。これまでは一場面にひとつの要素というリズムが絵本の中にありました。ハムをのせて一場面、チーズをのせて一場面……それなのに、この場面だけ耳を落としてふたつに切って一場面というのでは、せっかくのリズムが壊れてしまうと思いました。それに、ちょっと絵として散らばっていて、散漫かなという気もしたのです。
そこで最終的に耳を落とすのをやめて、ふたつに切って一場面というシンプルな構成にしました。
表紙のカラーを決める
さて、ここでみなさんにクイズです! 結局は緑色の表紙になったこの絵本ですけれど、最初はまったく違う色に決まりかけていました。さて、その色は何色でしょう?
2018.04.06